JMET

父に愛情を持てない

小貫淳子 ケース
「同居している高齢の父親に対して愛情が持てない」というご相談でした。お父様は高齢になって、ずいぶんとワ ガママになってきており、Kさんの言うこともきかず、面倒を見るのが大変になっているとのこと。自由な時間も少なく、時折「父さえいなければ」と思うこと もあるといいます。「父親に対してこんな思いを持つなんて。父に愛がない冷たい自分に腹が立つ」とおっしゃいます。

お話をしていくと、子供 の頃からご両親に対して愛情を感じた感覚があまりなく、またご両親に対してどこか「情けない」と見下していたことがわかりました。その古い記憶からセッ ションをはじめると、ご両親への「情けない」という思いの下に、そうした両親を持ったことについて深い絶望感を感じていたことがわかりました。

深い絶望感を持つ子供時代のKさんは「お父さんとお母さんが、あんな風だから、私ががまんして(家族の)バランスをとらなきゃ」と心に決めていたのでした。

セッ ションを終えてKさんは「私 は両親を支えるために、自分らしさを我慢しなければいけない。無邪気で素直でいてはいけない」と決意していたことに気づかれました。そのお話をしていた直 後「あ、そうやって私がずっと我慢していたから、年をとって、素直で無邪気になってきた父に怒りが爆発したんですね!本当は自分がそうしたかったんだ わ!」と明るい声で叫ばれました。
このケースをご紹介していいかKさんにお伺いしたところ、「そんなことご相談させていただいたこともありましたねー」とすっかり忘れていらっしゃいました。何よりです。