JMET

お金の不安

浦松真澄 ケース
今の仕事は看護師。母が看護師だったこと、シングルで育ててくれて、手に職をつけることは女として必要だと小さい頃から言われ続けました。勿論、役に立っていますし、金銭的にも夜勤を頑張ればそれなりに生活もできますし、求人が多いので安心です。
でも、本当はトリマーの仕事がしたかった。今からでも専門学校に行って・・と気持ちはあるのですが、将来これで食べていける気がしないのと、私は稼げない・・というビリーフがあります。

また、病気になった時にも誰にも助けてもらえない気がして、当時の母にとっての看護学校代や無理して一生懸命育ててもらった恩があり、きっと今更、トリマーになったら、誰にも助けてもらえなくて怖いのです・・

セッションの流れ

将来誰にも助けてもらえない・・私は守ってもらえない人という声もありましたが、実はちょっとした会話の中で「助けてもらいたくない」と。

どうしてかを深く聞いていくと、助けてもらわないとダメな人は迷惑をかける人だと。
絶対に迷惑をかける人になりたくないし、迷惑をかけているように見える人への軽蔑や憎悪の気持ちが私の中にあることが繋がります。(現在の生活の中で実感)

セラピーの中で(MR)小さな4〜5歳の私は母親から酷く叱られて床に突っ伏して泣いています・・母が怖い目で「迷惑をかけないように生きていきなさい!」と冷たく私を睨んでいます。母の言う事を聞かなかったら見捨てられる・・と私は思っています。

まずはここにある怖さをタッピングしつつ、母にとってどうしてこんな怖い顔で「迷惑をかけるな」と娘にいっているかを尋ねると、ちょうど離婚した頃の若かりし母は自分でも気づかなかったけれど実はすごい我慢をして働き続けていたと。

別れた夫(クライアントさんの父)から本当に迷惑をかけられた・・・そしてすごく恨んでいたし、怒っていたと。

まずは母の癒しを進め、母の自分でも気づいていなかった長年の怒りや恨み、歯を食いしばって子供を育ててきた孤独感などの感情をタッピングしながら理解し、受容していきます。

そして「迷惑をかける人」へのネガティブな投影(迷惑をかけることは軽蔑されるべきこと。生きる資格がない人)が緩んでいきます。

改めて、緩んだ母親に4〜5歳の娘に対して「迷惑をかけないように生きなさい!」と鬼の形相で言った先ほどの言葉を言い直してもらいます。

母は「努力なしで全部相手にやってもらう、相手の状態を考えずに押し付けるなどしなければ、相談したり、助けてもらうことは決して迷惑じゃないよ。むしろ生きるのに必要なことよ。」という意味を込めて娘に優しく伝えます。

その子はホッとして、迷惑をかけるということに対しての憎悪や軽蔑という意味づけが、「一生懸命自分が頑張って、それでも迷ったり出来なかったら、相手に聞いても良い」という風にシフトしていきました。

そして、母自身も長年に渡り「迷惑をかけられたこと」としてワンオペ育児を相当な我慢をしていたことに改めて気づき、自分の娘には気づかない感情を乗せて伝えていたことも言い直せてホッとしていました。

みんなが緩んで、迷惑をかける・・という意味が絶対にそうなってはいけないという厳しい意味づけから、優しい、前向きに自分が変わるためのアドバイスをもらうと言う意味づけに変化して、この変化の感覚をセラピーの中の登場人物に刷り込んで終了しました。

何故、大人の自分がお金を稼げないことに不安を感じているかの理由の一つは「迷惑をかける私になりたくないからだ」も見えてきて、自分にとって相当抑圧して否定してきた訳も気付けて、もっとありそうな他の自分の内側に隠されている声を理解してあげたくなりました。(思考では生活できないから、とか、預金が減ったらホームレスになるとかでした。ここもありますが、全く予想外の心の声の辻褄に驚いています)

母に迷惑をかけさせた私(子供の私もワンオペで母がラクが出来ない)というセルフイメージもずっとあったなぁと・・だから、自分は母には迷惑をかけさせたらダメ・・も深くあったなぁと色々見えてきました。身体を通じて感情が駆け抜けて行った分、とてもリアルでした。身体がホッとしています。

大人になった今でも潜在意識の中では、離婚直後の母の言葉を信じ、影響を受けて生きている私がいる事が初めて実感できました。驚いています。